私の名刺の裏にちょっとクイズを印刷しております。皆さんパッと見た感じのインスピレーションで考えて頂きましたでしょうか?「私は絵がわかりません・・・!」良くお聞きしますが、画廊勤務数十年の私も日々絵がわかるようにと勉強を重ねています。そのヒントの一つがこのクイズの答えにあると思います。美術品に価格を付けて売買する際に幾つかの法則がありますので、それをご説明しながらクイズの答えをご説明したいと思います。1)絵に描かれている赤い丸(太陽) この太陽は旭日ですか?夕日ですか?日本のコレクターの殆どは、縁起や日々成長を願っており、ご自宅に飾る絵にも勿論そのようなこだわりを持たれています。そう考えると 太陽は「旭日」。朝に昇ってくる縁起の良い旭日を皆さんは選びます。沈んでいって見えなくなる夕日を選ぶ方は少ないです。夕焼けは綺麗なので好まれるケースもありますが・・・!2) 富士山と旭日を描いているこの絵の取材地は何処でしょうか?🅰の絵は、旭日が富士の左にあるので山梨方面から描いた作品と推測されます。反対に🅱の絵は富士の右に旭日がありますから静岡方面だと思われます。3) 絵画の構図の取り方は、右向き、左向きどちらがお好みですか?この質問は、美術品価格の秘密に関して重要ポイントとなります。鯉の図ですが、右向きと左向きどちらの絵を購入したいですか?この作品二点とも、描いている鳥は左を向いています。日本画の作品を見ると、鳥や魚そして人物画の多くは左向きです。図鑑を見ても紹介画像の殆どは左を向いているようですね。はっきりとしたデータ等を確認していませんが、日本の伝統的な考え方で左側上位とすることや、右利きが多いなどが関係しているかも知れません。好む人が多いので右向きより左向き作品の方が高く売れる!のです。クイズの答えをご説明致しますまず太陽は昇る旭日で、🅰は左側に旭日があるので山梨方面から描いています。著名な先生からお聞きしたのですが富士山を描く際に、最高に山の形が良いと感じるのが山梨県忍野からの構図で、富士の北側は長年に渡り北風などの厳しい自然の環境にさらされ荒削りな山肌で雄大な形を形成しています。また富士五湖などからの情景は大変素晴らしく絵のモチーフとして最も適しているそうです。しかし🅱の静岡方面の方々もご安心してください。富士の南側は暖かみのある雰囲気があります。特に「三保の松原」から望む富士山は絶景で横山大観をはじめ多くの画家が描いています。富士の構図、右寄りか左寄りどちらを好まれるのか検証したところ上記の鳥や魚・人物画の多くが左向きである傾向を受けて、富士山は「右側に寄り裾野が左側に広がる構図」を皆さんが好むことがわかりました。🅰は富士が右側に描かれているので、こちらを選ばれる確率が高く、美術商としては売れる絵として高い評価を致します。「とくなが美術」の答えは!画面向かって左側 🅰の図です。これまでお会いした皆さんにお聞きした解答結果は、🅰が7割、🅱が3割となっています。◆富士山を描いた作品が高額に売れる条件とは?朝に昇る旭日であること!富士の形が良い山梨方面から描いていること!右寄りになって左側を向いた構図であること!好まれる確率の高い作品であること!以上の様々ポイントを検証して答えを出しました。美術品はお客様それぞれが気に入った絵を購入して頂けることが一番大切です。もし🅱を選ばれたとしても決して間違った選択ではありません。絵画の見方には様々な答えがありますので、皆さんが好まれた作品が正解です。沢山の美術品に出会って楽しみましょう。美術品を多くの皆さんが好きになって鑑賞出来るように、美術アドバイザーとして様々な角度からアート情報を発信して参りますので、これからも宜しくお願い致します。